皆さんは1日どれだけの時間をスマートフォン(スマホ)を使用していますか?
大人であれば4時間、10代の若者であれば4〜5時間と言われています。
朝起きてまずスマホに手を伸ばし、そして1日の終わりにはスマホをベッド脇に置き就寝します。若者の3人に1人は夜中も起きてスマホをいじる方がいるそうです。
まだスマホが普及して10年程度しか経っていないのにこのような状況が習慣化していることにも驚きです。
そのような、おはようからおやすみまでスマホを使用していることによる影響はどのようなものなのでしょうか?
今回はスマホ脳 (新潮新書) 「アンデシュ・ハンセン著 」の要約及びこれからどのようにスマホと向き合うのがいいかをまとめていきたいと思います。
社会の急速な変化に脳は適応できていない
人類の祖先が生まれてから1万年程度の経っているが、我々が知っている車や電気が発達した世界はたった100年程度に過ぎない。
一万年近く人類の祖先がは狩猟をしながら生きてきたが、当時の主な死亡要因は餓死やケガ、他人に殺されることであった。
一方で、現代では交通事故、病気が大半であり、狩猟生活とは事情がだいぶ異なる。
人類は1万年もの間、生存するために餓死から逃れる必要があった。
例えば、目の前にカロリーが高い果物が大量にあったとすると、その場で「全部食べる人」と「食べないで残す人」であれば、カロリーを多く摂取した人が残るようになる。
人類は上記の本能を持っている人が生き残ってきたが、現代では通用しない。
現代で、本能のまま生活すると現代病と呼ばれる糖尿病や肥満にかかってしまう。
100年の間に起きた、社会の変化に脳がついてきてないことは自明の事実と言える。
たった百年の間に産業革命がおきたが、私たちを悩ませているのは、たった10年前に販売されたスマートフォンである。
スマホが発売されてからたった10年である。
たった10年の間に起きた変化に脳がついていけるわけもなく、様々な影響が出てきている。
「いいねボタン」はスマホ依存の原因
大きな影響の一つとして、SNSの普及が挙げられる。
SNSで大量の「いいね」がつくと嬉しくなると思うが、その原因はドーパミンにある。
ドーパミンとは①報酬を得られるかもしれない時と②新しい情報を得られるかもしれない時に脳から放出される快楽物質である。
どちらも、生存するために進化してきた本能であるが、現代においては毒となってしまっている。
例えば、①は狩猟生活時代に「登ってみないとわからないが、木の実があるかもしれない木」があるとする。
生き残るのは、もちろん木に上り木の実があることを確かめた人である。
ドーパミンの課題は人間に行動させる動機づけであり、「あるかないかわからない時」に快楽物質を出し、行動を促すように進化したことで、人類は生き延びてきた。
では、現代ではどのように作用しているのでしょうか?
例えば、twitter「いいね」やソシャゲ「ガチャ」などがそのドーパミンにの特性を生かしうまく商売をしている。
「いいね」が押されていないか気になり、すぐにtwtterを開いたり、課金してまで、ガチャを引くようになる。
結果的には、脳が快楽を覚え、SNSを手放すことができなくなってしまうようになってしまうのである。
SNSに依存すると集中力が減少し、人生の幸福度を下げる
「いいねボタン」の特性については、少し説明したが、その影響はどのように起きているのでしょうか?
スマホ、SNSによる影響として
- 集中力の低下
- 人生の幸福度の低下
の二つが挙げられる。
集中力の低下
「いいね」が来ているかもしれないと思うだけで、集中力は散漫し頻繁にSNSを見た場合、今やっている作業は長期記憶には残らないようになってしまう。
長期記憶に残すためには、脳に「これは大切だ!」と刺激を与えることが必要なのだが
SNSで新しい情報を次々と仕入れたり、その都度集中を切らすことで、脳はどれが必要な情報なのかわからなくなる。
人生の幸福度の低下
スマホはすでに紹介した通りドーパミン製造機となっている。
スマホをよく使用する人がそれを無くせば脳はそれを何よりも優先して探すように命令を出すことになるが、それは無くした時だけに起きるものでなく、普段からも影響を及ぼしている。
とあるけ研究で、4000人にスマホの利用頻度とその後1年にわたる観察を続けた研究がある。
結果はスマホを熱心に使用している人ほど、ストレスを大きく抱え、鬱状態の人が多い傾向にあった。
また、若者が主にそうであるが、SNSを使用することで自己評価が低くなる。
思春期の若者がそうだが、他人と比較して自信を持てなくなったり、不安になったりする。
SNSが広がる前は学校の友達との比較程度で済んだが、SNSで世界と繋がってしまうと、完璧な容姿、完璧な人生と比較することをやめられなくなる。
比較は喜びを奪うものであること忘れないようにしたいところですね。
子供がスマホを使用することで馬鹿になる
子供と大人の脳で大きな違いとして、前頭葉の発達の違いが挙げられます。
前頭葉とは大脳の一部で、感情のコントロールを司っている箇所であり、成熟するのが遅いことがわかっています。
高校生などでは、十分に発達していないことが多く、例えば目の前にポテトチップスがあった時
太っちゃうし食べない方がいいよ
食べちまえよ。ダイエットは明日から頑張ろうぜ
このような葛藤があると思います。
前頭葉が発達している人であれば制御できますが、高校生などはまだ前頭葉が成熟しきっていないため目の前のポテトチップスだけでなく、家中のポテトチップスを食べてしまいがちです。
高校生より下の子も同様です。そのような子供達に脳のハッキング装置であるスマホを渡すとどういうことが起きるでしょうか。
集中力の低下、睡眠時間の減少、報酬の先延ばし機能の低下など悪い影響は次々と挙げられます。
スマホで目に見える報酬を得ることに慣れると、上達に時間がかかることはすぐやめてしまうことがあります。
少しの運動とデジタルデトックス
スマホが脳にどの程度悪い影響を与えているか少し理解はできたでしょうか?
ではそれに対してどのように対応したら良いのでしょうか?
私はこの本を読んで、SNSのアカウントの削除やスマホを捨てたくなりましたが、それはできませんでした。
スマホを捨てる以外の対応策としては運動です。
10分以下の軽い運動でもなんでもいいのです。とにかく体を動かしましょう。
狩猟時代を考えると、運動中とは「狩り」をしている時であり、最大限の集中力が必要です。
運動中は本当に必要な時に必要な集中力を出せるように進化してきました。
また、運動をするとストレスが減少する実験結果も複数あり、コンディションがよくなっていくことがわかっている。
しかし、スクリーンの発達により、現代人の運動量はますます減っており、それに伴い鬱患者はますます増えている。
まとめ
本当に納得させられる事ばかり書いてありました。
正直、私が学生の頃にスマホがなくてよかったと思い、また今の子供たちには親がスマホの使用方法は制御してあげないと、取り返しのつかないことになってしまうのではないかと思いました。
スマホで、友人とすぐ繋がれるようになったというメリットはかなり大きいと思います。ライン電話やスカイプで遠距離の友人ともすぐ連絡取れるし、様子も確認できます。
しかし、一方使い方を間違えると、依存しやすく、かなりドラッグに近い性質があるなと思いました。
子供に限らず大人でも、夜寝る前は使用しないなど自分でルールをまとめてそれを守ることが、平和で楽しい生活には必要になると思います。
ご拝読ありがとうございました。
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